異常な明暗周期の与える影響

Aberrant light directly impairs mood and learning through melanopsin-expressing neurons.

LeGates TA, Altimus CM, Wang H, Lee HK, Yang S, Zhao H, Kirkwood A, Weber ET, Hattar S.   Nature. 2012 Nov 14;491(7425):594-8

体内の概日リズムは約25時間となっており、1時間ほどのズレがあります。この1時間のズレ修正するために日光を浴びることが重要とされています。
3.5時間毎に明暗サイクルが変化する環境(ultradian)でマウスを飼育。(ulradian環境は睡眠の量や構成に、概日時間調節機構にも変化を与えない(fig1)。)
・ultradian群ではコルチコステロンの概日リズムは維持されるが発現量が増加(fig1)
・ultradian群においてスクロース選択性試験など、うつ様行動がみられるが、不安様行動はみられない(fig1, supple5, 6)
・ultradian群はモリス水迷路・新規物体認識試験の成績、海馬でのLTPが障害される(fig2)
・ultradian群の学習・LTP障害はフルオキセチンの慢性投与でレスキューできる(fig3)。
・メカニズム解明のために内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGCs)を欠損したマウスを使用(このマウスには通常の網膜神経節細胞が存在しているため光を感知できる)。ipRGCs欠損マウスではultradian環境下で飼育されても学習・LTP障害がみられなかった(fig4)。

以上の結果から、異常な明暗リズムは認知機能やうつ様行動を惹起し、その作用は内因性光感受性網膜神経節細胞を介して働くことが示唆されました。

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