新生顆粒細胞の時間依存的な役割

先週は久々の駒祭でした。ついつい弓術部のおしるこ屋に寄り、ついつい合格銀杏まで買ってしまいました。OBOGはよい金づるなのです。
今回はこちらの論文です。

Optical controlling reveals time-dependent roles for adult-born dentate granule cells. Gu Y, Arruda-Carvalho M, Wang J, Janoschka SR, Josselyn SA, Frankland PW, Ge S. Nat Neurosci. 2012 Nov 11. doi: 10.1038/nn.3260. [Epub ahead of print]


海馬歯状回では成体になっても神経新生が起こります。新生顆粒細胞への機能的な入力の形成についての知見は多々あるのですが、新生顆粒細胞からの機能的な出力についての知見(形成時期、行動や記憶との関連など)はあまりありません。筆者らはオプトジェネティクスを用いて新生顆粒細胞からの出力形成およびその意義について調べました。

レトロウイルスをアダルトマウスの歯状回門に投与し、新生顆粒細胞にChR2-EGFPを発現させます。スライスを作製し、苔状線維へ光照射してCA3錐体細胞のEPSCを記録すると、2wpi(weeks post infection)からEPSCが見られるようになり、4wpiで応答が最大に達します(Fig.1)。

続いて新性顆粒細胞の可塑性を見ています。ChIEF-dTomatoを発現させ、3wpi、4wpi、8wpiで高頻度の光刺激(シータバースト刺激)をして、CA3でfEPSP記録。3wpi、4wpiではほぼ確実にLTPが起こりますが、8wpiでは50%程度。Amplitudeは4wpiで最大。この可塑性の高さにはT型Caチャネルが関与しています(Fig.2)。

今度はChR2の代わりにArch-EGFPを発現させ、行動への影響を見ています。4wpiの新生顆粒細胞をテスト時に抑制すると、water mazeが障害されます(Fig.3)。また、テスト時の光照射で文脈的恐怖条件づけも障害されます。音恐怖条件づけには影響なし(Fig.4)。この行動への影響は2wpi、8wpiの抑制では見られず、4wpiで抑制したときのみ見られます(Fig.5, 6)。

本研究で、新生顆粒細胞の機能的な出力回路の形成と、時間依存的な役割が明らかとなりました。よくもまあこんなにうまく時間依存性が出せるもんだ。


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