神経活動によるオリゴデンドロサイトの分化と、その行動変化への関与

Neuronal activity promotes oligodendrogenesis and adaptive myelination in the mammalian brain.
Science 2014 May 2
Gibson EM, et al.

神経活動に依存してオリゴが分化することはvitroでは言われていたし、経験に依存してミエリンや白質が増減することはヒト及び動物でわかっていました。
足りなかった部分をつないだような論文です。


・THy1::ChR2マウス、右M2領域を光刺激(左周回歩行から刺激成功を判断できる)。
・刺激3時間後、EdU標識増殖細胞がM2(図1)、脳梁(図2)で増加。その多くがオリゴ系譜細胞、残りは神経前駆細胞
・このとき、外傷によるミクログリアの活性化の程度は野生型と同程度(図3)。
・野生型では、増殖細胞は刺激24時間後もまだ増殖能を持つのに対しTHy1::ChR2マウスでは増殖能を持たない(→分化を示唆)(図4)。分化に必要なエピジェネティックな指標も、分化を示唆(図4)。
・上記細胞は4週間後に成熟オリゴへ分化していた(図5)。
・また、ミエリンが厚くなっていた(図6)。
・このタイミングで、運動機能(limb swing speed)が向上(図7)。
・オリゴの分化を止めるというHDAC阻害物質で、光刺激による分化、ミエリン化、行動変化は全て抑制された(図5〜7)。

刺激した回路周辺のオリゴが増えてミエリン化、そして行動変化に必要であるという主旨。


オリゴはまず分化が起こり、その後隣接するオリゴが分裂すると言われているので、解釈が複雑ではあります。でも
行動に関連してミエリンが可塑的に変化する→オリゴの供給が滞れば行動(精神)異常が生じる
と夢見るくらいには充分な論文だと思いました。


でっしー。