ドパミンはBLAのPVニューロンからPNへのGABA放出を抑制する
今回紹介するのはこちら。
Target-Specific Suppression of GABA Release from Parvalbumin Interneurons in the Basolateral Amygdala by Dopamine.
Chu HY, Ito W, Li J, Morozov A.
J Neurosci. 2012 Oct 17;32(42):14815-20.
ドパミンは BLA の principal neuron (PN) を脱抑制することによって恐怖学習を亢進させると考えられています。しかし、BLA のどの種類のインターニューロンがこれに関与するのかはわかっていません。
筆者らは、ドパミンが、PV陽性インターニューロンからのGABAの放出を、PNへの投射選択的に抑制することを発見しました。
手法:
PV-Creマウスの扁桃体にCre-ChR2 AAVを投与し、光遺伝学的にPVニューロンの活動を操作した (Fig. 1)。
結果:
・光操作により、PVニューロンからのGABA放出を誘導し、PNもしくはインターニューロン (IN) でIPSCを記録。ドパミンは、PNのIPSCを減少させるが、INには影響しない (Fig. 2 B-E)。
・ドパミンの処置によりPPRが増加する (=プレシナプスのメカニズムが関与 (Fig.3 A))
・ドパミンの作用はアンタゴニストの処置で観察されなくなり、アゴニストの処置でmimicされる (=D2受容体を介する (Fig. 3 D))
・ドパミンの作用はRp-cAMPおよびPKA阻害薬の処置で観察されなくなる (=cAMP-PKA カスケードを介している (Fig. 4 B, C))
・cAMPシグナルによるPVニューロンからのGABA放出の制御は、ポストがPNかINかによって異なる (Fig. 4 D-F)
以上より筆者らは、cAMPシグナルが、ドパミンによる、PVニューロンからPNもしくはINへのGABA放出のtarget選択的な制御の主要なメカニズムだろうと主張しています。ただ、より下流のメカニズムについてはディスカッションに留まっています。
また一方で、SOM陽性インターニューロンの場合は、このようなtarget細胞選択性は見られず、PNもINもドパミンによりIPSCが抑制されることも示されていました (Fig. 2 F)。
扁桃体の抑制性回路のメカニズムの中で、BLA内のインターニューロンの役割は、ITCや中心核の局所回路に比べると未解明の部分が多く、今後の研究が期待される分野だと思います。
Qoo