オリゴデンドロサイトの選択的脱落
興味は持っていたものの、ちゃんと読むのは遅くなってしまいました。
Targeted Ablation of Oligodendrocytes Induces Axonal Pathology Independent of Overt Demyelination
Laura-Jane Oluich, et al The Journal of Neuroscience (2012)
オリゴデンドロサイトはミエリン化のほかに、代謝的なサポートなどの役割を持つと考えられてきています。
オリゴデンドロサイトの脱落の結果何が起こるか見るため、オリゴデンドロサイトに特異的にジフテリアトキシン受容体(DTR)を発現させたトランスジェニックマウスを作製しました。
結果
MBP-DTRマウスはDTRを成熟オリゴデンドロサイト限定的に発現していた
DT腹腔内投与9日後から運動障害が見られはじめ、平均して16日後に死亡した。
坐骨切痕を刺激し、体性感覚皮質で記録を取るとlocal field potenialの検出が遅れた。
成熟オリゴデンドロサイトのアポトーシスが見られ、オリゴデンドロサイトの数は中枢神経系を通して26%減少していた。
脱ミエリン化に重要であるミクログリアの活性化は見られたが、T細胞の移動は見られず、ミエリン化の程度に差はなかった
ミエリン化が維持されている軸索で、ダメージの指標であるAPPの蓄積が認められた。
ランビエ絞輪付近で、構造に異常が認められた→これが、跳躍伝導の速度を変化させた原因か?
軸索の構造的・機能的な完全性をミエリンの提供とは別の形でオリゴデンドロサイトが担っていることが示唆された、と結んでいます。
この研究だけではオリゴデンドロサイトが何をしているかはわかりませんが、今後に期待できる手法だと思いました。
そこそこ減ったでけで致死というのはすごいですね。
ヅカ