habenulaの特性‐うつを意識しながら

Neuron. 2012 May 10
Input to the lateral habenula from the basal ganglia is excitatory, aversive, and suppressed by serotonin.


・lateral habenula(LHb) はbasal ganglia(のEP)から興奮性入力を受ける
・(in vivo)光遺伝学的にhabenulaに投射するEPを刺激すると、嫌悪的である(刺激した時の行動をとらないようになる)
セロトニンを添加することで、LHbへの興奮性入力が抑えられる

という、タイトルの通りの簡潔な論文です。筆者たちの深い考察はありませんが、この論文の面白さをこのラボの前年のうつの論文やその他の論文と合わせて考えてみます(不快情動の部分は筆者の考察が主ですが、うつにかんしては筆者たちは軽く触れる程度)。

LHbはVTAに対して抑制的に働き、あるうつモデル(learned helplessness)ではLHbが活性化することがうつ様行動の発現に重要です。VTAは一部のうつモデル(social defeat)では活性化することが知られていますが、基本的にはVTAの活動が低下することは負の報酬シグナルとなり、意欲の消失など「うつっぽい」行動に重要であると考えられます。
また、不快刺激が加わった時にEPのニューロンが活性化することも知られています。

ということで、不快感(ストレス)→EP活性化→LHb活性化→VTA不活性化→行動の抑制という回路が想定でき、この破たんがうつに重要なのかもしれません。
learned helplessnessなどの古典的なうつモデルでは、セロトニン上昇がうつ様行動の改善に重要といわれているので、今回セロトニンが効いたのは興味深いところです。

EP刺激によりうつ様行動が惹起されるのか等、うつモデルでの検証が期待されるところです。

ヅカ