脆弱X症候群におけるmGluRとHomerの相互作用

Disrupted Homer scaffolds mediate abnormal mGluR5 function in a mouse model of fragile X syndrome

Ronesi JA, Collins KA, Hays SA, Tsai NP, Guo W, Birnbaum SG, Hu JH, Worley PF, Gibson JR, Huber KM. Nat Neurosci. 2012 Jan 22;15(3):431-40. doi: 10.1038/nn.3033.

脆弱X症候群モデルマウスにおいて、mGluR5とHomer1aが相互作用しやすくなっている。その結果、mGluR5とアイソフォームがより長いタイプのHomer(1b,1c,2,3)との相互作用が減少する(Homer1a以外は複合体を形成し、それによりmGluRがPSDへ局在、SHANKと相互作用する)。これより著者らは、mGluRとHomerの相互作用のバランスの変化が脆弱X症候群モデルマウスでみられるmGluRの機能障害を引き起こしていると仮説を立て、研究をおこなった。
・WTにおけるmGluR5とHomerの相互作用のバランスを崩してやると脆弱X症候群モデルマウスの表現型をミミックできる(fig1)
・脆弱X症候群モデルマウスにおいてHomer1aをKOとすることにより、正常なmGluRの機能を示すようになる(fig2,3)。
・しかし、脆弱X症候群モデルマウスにみられるLTDやCaMKⅡ・Arcタンパク質発現の異常はHomer1aをKOしてもレスキューされない(fig4)。
以上のことから脆弱X症候群でみられるmGluRの機能障害には、mGluR5とHomerとの相互作用のバランス変化によるmGluR5シグナルの異常と、FMRPを介する翻訳異常によるmGluR-LTDの障害の2つのメカニズムがあることが分かった。
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