背側海馬のカンナビノイド受容体刺激で生じる記憶障害にBLAのドパミン性とグルタミン酸性システムが関与する

こんにちは。E.T.です。学会、ボート大会お疲れさまでした。

さっそくですが、論文紹介をさせていただきます。

INVOLVEMENT OF DOPAMINERGIC AND GLUTAMATERGIC SYSTEMS OF THE BASOLATERAL AMYGDALA IN AMNESIA INDUCED BY THE STIMULATION OF DORSAL HIPPOCAMPAL CANNABINOID RECEPTORS
A. REZAYOF, P. HABIBI AND M.-R. ZARRINDAST,
Neuroscience 175 (2011) 118.126

海馬にはカンナビノイド受容体が多く存在し、記憶形成過程に関与しています。筆者らは、海馬CA1領域にCB1/CB2受容体作用薬のWIN55,212-2(以下、WIN)をIAトレーニング直後に局所投与することでstep through latencyが用量依存的に低下することをFig.1で確認しました。そして、このCA1へのWIN投与で生じる記憶障害が、BLAへの薬物投与と組み合わせでどう影響されるかを検討しています。

IAトレーニング直後にWINを単独作用のでない用量でCA1に投与すると共に、BLAにD1/D2受容体作用薬のapomorphine(Fig.2)もしくはNMDA(Fig.5)を投与すると、いずれも用量依存的にlatencyを低下させました。しかし、apomorphineもNMDAもBLAへの単独投与による作用はありませんでした。
IAトレーニング直後にWINを単独作用のでる用量でCA1に投与すると共に、BLAにD1受容体拮抗薬のSCH23390(Fig.3)、D2受容体拮抗薬sulpiride(Fig.4)、もしくはNMDA受容体拮抗薬D-AP-5(Fig.6)を投与すると、いずれも用量依存的にlatencyを上昇させました。

BLAのドパミン性、グルタミン酸性システムは直接的には記憶障害に関与してはいないけれども、背側海馬のカンナビノイド受容体とは記憶形成に関してつながりがあるようです。

 E.T.