扁桃体はrecognition memoryの「親しみ」にかかわる

こんにちは、anです。実験の予定と学会の準備を考慮すると、16日付近はばたばただと思われるので、時間的に少し余裕のある今のうちに更新します。
今回ご紹介するのはこちら。
Amygdala lesions selectively impair familiarity in recognition memory. Farovik A, Place RJ, Miller DR, Eichenbaum H. Nat Neurosci. 2011 Sep 25. doi: 10.1038/nn.2919. [Epub ahead of print]


Recognition memoryは想起(recollection、意識を必要とする)と親しみ(familiarity、意識を必要としない)の2つの成分があると考えられています。一般に海馬は想起に、perirhinal cortexは親しみに関わっているとされていますが、扁桃体がどう関与しているのかを調べたのが本論文です。
ラットに10種のにおいを覚えさせ(砂ににおいがついている)、30分後にすでに覚えた10種のにおい(old)と新しい10種のにおい(new)をランダムに提示します。Newの場合は砂に報酬が埋もれています。Oldの場合はhome cageに戻ると報酬がもらえます。カップの高さと報酬の量でバイアスをかけます。
このときoldをoldと正しくみなした場合を縦軸に、newをoldとみなした場合を横軸にして、ROCカーブというものを描きます。想起の成分としてはy切片が正の直線が、親しみの成分としては上に弓なりの曲線が描けます。通常はこの二つの成分が合わさった曲線が描かれます。しかし、扁桃体をイボテン酸でlesionすると想起のROCカーブに近づきます。このことから、扁桃体はrecognition memoryの親しみ成分に関わっていると考えられます。


前報(Nature 2004)含め、動物で想起と親しみを区別しているのがすごいと思いました。ただ、ROCカーブの解釈とタスクが難しかったです。前報を読んでからのほうがわかりやすいかと。今のままだと論文を鵜呑みにしてしまいそうなので、さらに前のヒトの論文も読んで、もうちょっと勉強します。

an