retrosplenial cortex(RSC)のNMDARが想起において必要

2ndです。今回紹介する論文はこちら。
NMDA Receptors in Retrosplenial Cortex Are Necessary for Retrieval of Recent and Remote Context Fear Memory
Corcoran KA, Donnan MD, Tronson NC, Guzmán YF, Gao C, Jovasevic V, Guedea AL, Radulovic J.   J Neurosci. 2011 Aug 10;31(32):11655-9.

筆者らは想起時に活性化することが知られているRSCに着目、RSCが想起にどう関与しているかを薬理学的手法で検証しています。
以下結果です。
・条件付けを行ったマウスでテストを行う15分前にAPⅤを海馬、anterior cingulate cortex(ACC)、RSCに投与したところRSCに投与した群で有意にfreezingが減少(fig1,2)
・NMDARの中でもNR2Aサブユニット選択的阻害薬により想起が阻害される(fig4)。
・条件付け前にAPⅤをRSCに投与しても学習に影響がなく、APⅤの効果の切れた24時間後にテストを行うと想起できるため、記憶の維持にも影響はない(fig2)。
・RSCにAPⅤを投与しても自発運動に有意な差はなく、またAPⅤ投与後に条件付けを行った場合のショック直後ではvehicle群と同程度freezingしている(fig3)ことから、APⅤがマウスの行動そのものに影響していないことがいえる。
以上のことよりRSCのNR2Aを含むNMDARが想起時に必要であり、そのメカニズムは記憶の獲得、維持には関与しないことが分かります。

局所投与のオペを行う際にはRSCのような部位を傷つけないように気を付けなければいけないと感じました。