MGmの電気刺激とfootshockで恐怖条件づけ

Cornering the Fear Engram: Long-Term Synaptic Changes in the Lateral Nucleus of the Amygdala after Fear Conditioning
Jeong-Tae Kwon and June-Seek Choi
The Journal of Neuroscience, August 5, 2009, 29(31):9700-9703

恐怖条件づけの音経路を担うMGm(内側膝状体内側核)を直接電気刺激することにより、恐怖条件づけが成立することを示した論文。
一般的な恐怖条件づけのプロトコールはCSとして音、USとしてfootshockを用いるが、本論文ではCSとしてMGm(内側膝状体内側核)の電気刺激、USとしてfootshockを用いている。CS-USをpairで与えた場合、テスト時にCS単独でfreezingが観察され(Figure 1)、LAで記録されるMGm刺激誘発電位(EFP)がpaired群でのみ増強する(Figure 2)。EFPの増強率とfreezingが相関する(Figure 2)。

これまで、LAでのシナプス可塑性と記憶の関係について確たる証拠はあまり存在しなかった。例えば、一般的な音恐怖条件づけ後にLAにおける音誘発電位が増強することを示す論文はあったが、どこのシナプスで変化が生じたのかは不明であった。LAかもっと上流か、不明だった。
本論文では、MGmを直接刺激することで条件づけが成立することから、MGmより下流シナプスにおける変化で十分であることが示された。さらにMGm-LAの増強率とfreezingの相関から、MGm-LAシナプスの重要性を示唆。

今回の結果は人工的な刺激の記憶を人工的な刺激で想起できたということ。生理的な条件づけの回路とは異なる可能性も残る。今後、人工的な刺激で生理的な音-footshockの関係を想起させること(もしくは逆)ができれば、より理解が深まるのだろう。

隊長