090729訓練補足

090729の訓練で出た質問についてです。

*CSとUSについて
質問は、CSは弱いEPSPを起こすもの、USはシナプス後の強い脱分極を起こすもの、とはっきり区別されているのか?示されているのか?という理解でいいでしょうか。
CSが弱いEPSPを起こすことやUSが脱分極を起こすことを示したものはあっても、この仮説自体をはっきり示したものはなさそうです。むしろ強く脱分極を起こすような刺激だからこそUSとなりえる、という感じなのかなぁと思いました。

*L-VGCCについて。トレーニング後に阻害剤を投与した実験はないのか?
少なくとも扁桃体で固定化についての実験では見当たりませんでした。イントロなどでVGCC阻害により固定化が障害される、という記述がある場合はたいてい訓練で取り扱った2002年のJNSの論文が引いてありました。

*CREBのリン酸化には全てMAPKが関わるのか?例えばPKAがCREBをリン酸化したりしないのか?
扁桃体ではなく海馬で空間学習ですが、ERKを介さないかもしれないPKA/CREB経路がありました。
Mizuno M, Yamada K, Maekawa N, Saito K, Seishima M, Nabeshima T. CREB phosphorylation as a molecular marker of memory processing in the hippocampus for spatial learning. Behav Brain Res. 2002 Jul 18;133(2):135-41.
論文の趣旨は空間学習にPKA/CREB経路が必要ということなのですが、ERKのリン酸化が見られなかったそうです。ディスカッションでウェスタンのときマスクされてしまったのかもとか言われてますが・・・。扁桃体限定では見つけられませんでした。
あと、訓練ではCaMKIIからの→はMAPKに向いていましたが、それだけではなくCaMKII/CaMKIV経路でもCREBはリン酸化されるようです。海馬依存の記憶についてのレビューですがCREBリン酸化の経路について何種類か書いてあります。分子経路は扁桃体でも大きく変わりはしないのでは。
Mizuno K, Giese KP. Hippocampus-Dependent Memory Formation: Do Memory Type-Specific Mechanisms Exist? J Pharmacol Sci. 2005 Jul;98(3):191-7. Epub 2005 Jun 19.
ちなみに、CaMKIVが扁桃体においても重要であることを示した論文はこちら。遺伝子改変です。
Wei F, Qiu CS, Liauw J, Robinson DA, Ho N, Chatila T, Zhuo M. Calcium calmodulin-dependent protein kinase IV is required for fear memory. Nat Neurosci. 2002 Jun;5(6):573-9.


以上でよろしいでしょうか。忘れ事があったらご指摘ください。
大阪行く前に、と思ってばたばた書いたので論文の読みが甘いです。ずれたことを書いていたらごめんなさい。

では行って参ります。

an