セラミドがうつ病のターゲットになりうる

Acid sphingomyelinase-ceramide system mediates effects of antidepressant drugs.
Nature Medicine. 2013 Jun 16. Gulbins E, et al.

うつ病抗うつ薬におけるモノアミン仮説には限界があり、新たな作用の抗うつ薬が望まれています。筆者たちはセラミドに注目したそうです。


asm:スフィンゴミエリン分解酵素
セラミド:asmによって生じる

図1
抗うつ薬の処置により、asm活動性減(培養、vivo(海馬))。結果、セラミド量も減少する(海馬)。
※実際はt-Asmマウス(高Asm活性)、Asm-deficientマウス、Ac-heterozygousマウス(セラミド量が多い)で詳細に検討

図2,3
Asm-deficientマウスでは、もともと神経新生が多くうつ様行動が弱いが、抗うつ薬による神経新生効果、抗うつ様作用は見られない。
ASMの阻害剤は抗うつ薬と同様にふるまう。
→asmの阻害が、抗うつ薬の作用を仲介している。

図4
Asmとは独立にセラミドを増やした場合、うつ様行動惹起と神経新生抑制が起こる。
セラミドを海馬に直接投与した場合、うつ様行動が惹起。
慢性予測不可ストレスにより、セラミド量増加、神経新生減少、抗うつ薬により改善されるがAsm-deficientマウスでは改善されない。


すごく単純に言えば、セラミドが増えるとうつ様行動惹起、セラミドを減らせば抗うつ様作用、という方向の論文。
ただ、コルチコステロンはセラミドの濃度を変えることなくうつ様行動を惹起していることなど、そう単純ではないのかなと思います。
研究の進め方としてはとても参考になります。

セラミドという視点が新しくて面白いですが、(おそらく)うつにおけるセラミドの役割があまりわかっておらず、今後に期待といったところです。

ヅカ