BLAでのGABAA受容体の内在化が恐怖記憶のreinstatementに重要

GABAA receptor endocytosis in the basolateral amygdala is critical to the reinstatement of fear memory measured by fear-potentiated startle. - PubMed - NCBI


恐怖条件づけ学習や消失学習のメカニズムの研究が盛んに行われている一方、Reinstatementのメカニズムに関する報告はほとんどありませんでした。
今回紹介するのは、その、reinstatementのメカニズムに迫った論文です。


【背景1】
前報で、恐怖条件づけによりLAにおいて、mIPSCの頻度と強度が減少し、細胞膜表面のGABAA受容体サブユニット(β2とγ2)の量が減少すること、
また、これらの減少はextinctionにより元に戻ることが示されていた。
本論文では、reinstatement時の変化を調べた。


【背景2】
US提示により、locus ceruleus などから扁桃体へのNE放出が上昇する。
これは、β受容体を介して恐怖記憶の獲得を促進する。
本論文では、reminder shock によりβ受容体が活性化するかを検討した。


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ラットのCued (light) FC。記憶の指標にstartleを用いています。

主な結果は以下の通り。
・ reinstatement 群は extinction 群に比べてmIPSC の頻度と強度が小さく、細胞膜表面のGABAA受容体発現量が少ない(Fig3、4)。
一方、AMPA/NMDA 比、GluR1, 2 の発現量は変化しない(Fig2)。


・ reminder shock提示前にβ受容体アンタゴニストを投与(腹腔内)⇒reinstatementが障害。
β受容体アゴニストを扁桃体に投与⇒reinstatementが亢進(Fig6)。


・ slice実験。β受容体アゴニストにより、膜表面のGABAA受容体発現量が低下(Fig6)。


・ GABAA受容体の内在化を阻害すると、reinstatementが障害される (Fig7)。
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つまり、reinstatementは扁桃体のβ受容体活性化→GABAA受容体内在化を必要とすると考えられます。
この結果から、条件づけにより減弱していた扁桃体の抑制性伝達が、extinctionにより増強され、さらに、reinstatementにより再び減弱する、という抑制性回路のコントロールを中心にした構図が見えてきます。
Discussionでは特に、BLAのinterneuronからfear neuronへの抑制に言及していました。
Extinction関連の行動試験と絡められるということもあり、やはり、扁桃体のinterneuronやITCや中心核といった抑制性神経系は興味深いと感じました。

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