単一スパインにおけるRhoファミリータンパク質の役割

Nature. 2011 Apr 7;472(7341):100-4. doi: 10.1038/nature09823. Epub 2011 Mar 20.
Local, persistent activation of Rho GTPases during plasticity of single dendritic spines.
Murakoshi H, Wang H, Yasuda R.

今回紹介する論文は、単一スパインを研究した論文です。
RhoファミリーGタンパク質のRhoAとCdc42に着目し、可塑性誘導時のスパイン体積の一過的な増大と持続的な増大にRhoファミリーがどのように関与しているのかを、アンケージング法により明らかにしました。

結果
アンケージングによりRhoA、Cdc42は活性化され、刺激されたスパイン体積の一過的な増大(増大率400%)及び持続的(90分以上)増大(増大率200%)が観察された。
 Cdc42を抑制した場合、スパイン体積の一過的な増大と持続的な増大の両方が観察された。
 RhoAを抑制した場合、スパイン体積は一過的な増大は観察されないが、持続的な増大が観察された。
 
まとめ
 NMDA受容体によるカルシウム流入→CaMKⅡ活性化→RhoA→Rock→スパインの一過的
                               持続的体積変化
                        →Cdc42→スパインの持続的な増大

 単一スパインでのアンケージング法は、2004年以降から多くの論文で使用されており、ほとんどの論文で、刺激後の一過的なスパイン増大が見られていた。今回の論文では、この一過的な増大と持続的な増大が別の経路で生じていることを明らかにした点が重要であると思います。
 今後、より長期的な維持機構についての研究が進むことに期待したい。

岩田浩一