腹側被蓋野から側坐核へのGABA性投射が学習を強化する

一般的には今日が仕事納めですね(薬作は例外な人も多いですが)。明日から親戚めぐりをしてきます。また来年会いましょう。
今年最後の私の担当論文はこちらです。
Ventral tegmental area GABA projections pause accumbal cholinergic interneurons to enhance associative learning. Brown MT, Tan KR, O'Connor EC, Nikonenko I, Muller D, Lüscher C. Nature. 2012 Dec 20;492(7429):452-6.


腹側被蓋野(VTA)と側坐核(NAc)は動機づけに関連した学習に重要です。そのような学習にはVTAからNAcへのドパミンニューロンが関わっているとされています。VTAにはGABA性ニューロンも含まれていて、VTA内の局所的な抑制をしているだけでなく、NAcにも投射しています。しかし、この遠距離投射の標的や機能的重要性は明らかとなっていません。筆者らは光遺伝学的手法と電気生理を組み合わせてこの問題にアプローチしました。

GAD-CreマウスのVTAへのAAV-ChR2-eYFP投与および電顕で、VTAからNAcに投射するGABA性ニューロン(GABA projection neurons; GPNs)がNAcのコリン性インターニューロン(CINs)に投射していることがわかります。NAcの主要な細胞であるmedium spiny neurons (MSNs)とはシナプスを作っていません(Fig.1)。

GPNsを光照射で活性化し、CINs、MSNs、PV陽性インターニューロンからホールセル記録をとると、CINsでIPSCが見られました(Fig.2)。GPNsの活性化はCINsの自発活動を抑制するのに十分です(Fig.3)。

条件づけ時に、10秒間のCS+提示のうち300ミリ秒間だけ光照射すると、GAD-Cre+マウスはテスト時のCS+とCS-の聞き分けが強化されます。コントロールであるGAD-Cre-マウスは聞き分けできません(Fig.4)。


CINsはNAc内のごく少数派らしいです。そこにGPNsが選択的に投射して、その経路をちょっと叩いただけで学習に影響が出てしまうのもすごいですね。


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